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「ごめん、僕……」
「謝るな。今日のは全部俺が悪い」
どれくらい時が経ったかは定かじゃ無いが、ぐったりとした日向の服をなんとか整え終えた時、彼がようやく意識を戻して恥ずかしそうに頬を染めた。
白濁で汚れた下着は脱がせ、直にジーンズを履かせたけれど、それも多少湿っているからきっと気持ちが悪いだろう。
「家までちょっと我慢してくれ」
コートの前ボタンを閉め、腰の立たない日向の体を有無を言わさずおぶった浩也は、土手の上を歩きだす。
「ずっと、我慢してた。ヒナの家族の信頼を裏切りたくないって、引き離されたくないって思ってた。でも、寒い中待っててくれて、誕生日なんか誰かに祝って貰った事無かったし、それに、ヒナが可愛い事、言うから……」
珍しく……自分が何を言いたいのかが纏まらない。だから一旦言葉を切ると、肩を掴んでいた指が離れ、日向の腕が背後から浩也を包むように抱き締めてきた。
「……良かった」
「不安にさせて、ごめん」
今まで、なるべく日向の体と心に負担をかけないようにしてきた。ほんの少しでも触れてしまえば、制御できなくなりそうだった。
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