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時間の無駄③

「・・時間の無駄だな。」 そう言って コーヒーを飲み干して立ち上がり 千円札をテーブルに置くと 「また来ます。」 そのまま 足早に店を出て行って。 唖然としている間に100万の封筒 そのまま置き去りにされてる事に気づいて 急いで追いかけたけど 黒の高級セダンが 滑る様に走り去って。。 仕方なく 金庫に閉まってある。 何度か名刺の電話番号に電話をかけてみたけど 女性にその度に不在と言われた。 折り返しもかかってこない。 勝手に金を押しつけて 勝手な事言って こっちの質問には何も答えずに 挙句の果てに時間の無駄と言い放つ。。。 何なんだ!バカ野郎! 大声で文句を口にしたくなり グッと我慢をして 持っていたふきんを ぎゅーっと握りしめた。 「あ。でもエッチ無しの恋人なら100万貰って デートするくらい いい気もする。 俺だったら受けちゃうかなぁ〜。」 冗談じゃない。 タケルがぶつぶつ言っているのを聞き流し ふきんでカウンターをゴシゴシ怒り諸共拭きあげる。 そんな人には見えなかったけど。 タケルが言うように見た目はかなりのもので たまたま居合わせた女性客もちらちら 視線を送るような人。 話してみると別に気取ったところも無く とはいえそれ程口数が多かった事も無い。 じっと外の景色を眺めながら静かに コーヒーを飲んでいる。 ただそれだけ。 どちらかといえば沢木さんの方がフランクで 来るといつも伊織さんはほったらかしで こちらになんだかんだと話しかけてきて。 だからこそ驚きすぎて何も反応出来なかった。 あの時絶対にお金突き返すべきだったのに。。 馬鹿にしてるんですかって怒っても良かったはずだ。 「あーあ。。。」 ホントどうしよう。。。 金庫に入れているとはいえ気が気じゃないし。 はあ。。とため息を吐くと同時に店の電話が鳴り タケルが受話器を取った。

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