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時間の無駄⑥

「政略結婚・・ですか。」 柚がそう聞くと 沢木はうん。と頷いた。 店を閉め グダグダと残りたがるタケルを 無理やり返し 掃除をしていると 伊織さんと沢木さんが店にやってきて。 「柚くん。ごめんね。忙しいのに。」 沢木さんはそう謝ってくれたけど 伊織さんはソッポを向いていて。 ちょっとイラっとする。 元はといえばお前があああと怒鳴り上げたいのを ぐっと我慢して いつものボックスへ 座ってもらった。 コーヒーを持っていくと座るように言われて。 で。 沢木さんが説明してくれたのがそのワード。 「そう。伊織に縁談が来ていてさ。 それが政略結婚だって話。取引先のお嬢さんでね。」 「はあ。」 でもそれがなんで俺に100万渡して 恋人になれって話と結びつくんだろう。 俺の疑問が伝わったのか 沢木さんは話を続けた。 「色々と事情があるんだけど。 早くコイツに結婚させて 跡取りを作らせたい 連中がいるんだよね。今までも結構 なんだかんだってあって  本人かなりウンザリしててさ。」 「俺は結婚などしない。 本家の奴らの思惑など知った事じゃない。」 伊織さんはそう吐き捨ててコーヒーを飲んだ。

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