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時間の無駄⑨

それが何の関係があるんだろ。 確かにあの鳩時計は動かない。 正確に言うと時計としては動いているけど 鳩が出てきて鳴く事をしないって事。 じいちゃんが昔買ったドイツの鳩時計。 当時でアンティークと呼ばれていた物だったらしく 俺がガキの頃は動いていて いつもあの下で鳴くのを楽しみに待っていた。 じいちゃんとばあちゃんがこの店を出す前に 行った最初で最後の海外旅行。 それがドイツで その時に手に入れて 大事に持って帰ってきたと聞いている。 独立してこの店を作った時に 店名にするぐらいの宝物だ。 それが動かなくなって。 すぐに ばあちゃんが亡くなって。 じいちゃんはじっと鳩時計を眺めながら 背中を丸めて泣いていた。 元気づけたくて修理屋さんに聞いてみたけど 部品が無いらしく無理だって言われて。 鳩が鳴く姿を見る事なく じいちゃんは病気になった。 入退院を繰り返していて あまり良くないって 言われている。 でも。急になんでそんな話。。 伊織さんはコーヒーを飲み干すと 「あの時計。直せる修理屋を用意出来る。 工賃はかなり嵩むがな。 この件を引き受けてくれれば 100万の代わりに 俺が直してやろう。どうする。」 そう言って ニヤッと笑った。

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