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時間の無駄⑪
「うん。まあね。たださ コイツも色々と
面倒で。。」
ああ。それはわかる。
コクコク力強く頷くと 伊織さんに途端に
顔をしかめられた。
だって。ねえ。
何言ったって時間の無駄っていう奴なんて
めんどくさい以外の何物でも無い。
いくら金持っててこんだけのルックスだって
一緒に居たらイライラするし絶対楽しいわけが無い。
って俺はだから男だっての。
あまりに現実離れした話に頭がおかしくなってくる。
女の子だったら地位や金。外見に目が眩んで
ある程度は我慢するのかもしれないけど。
その辺りドライな子もいるしな。。。
・・ってああ。そうか。
「本気になられたら困るって話ですか。」
結婚する気も無い。
恋愛に興味が無い。
これをきっかけに本当に狙ってこられたら
それこそめんどくさいって話。
うん。と沢木さんは頷いてコーヒーに口をつけた。
「そう。トラブルになっても困るんだ。
コイツもそれなりに立場がある奴なんでね。
ちゃんと割り切ってビジネスとして
対応してくれる人を探してる。って所で
どうも柚くんに・・って話みたい。」
その言い方だと 沢木さんにも何も言わず
伊織さんの独断でああやって金を持って
やってきたって事か。
まあ。電話でやらかしたって沢木さん言ってたしね。
うーん。。。。
「でも。別に俺じゃなくても。。」
どうしてもそこに拘りがある。
そんなに話した事がある訳じゃないし
それこそ金を払ってプロでも雇えば。。。
「そうだよね。そこが一番俺も疑問だな。
伊織。なんで柚くんに頼もうとしたの。」
沢木さんも頷いて隣に座る人へ尋ねる。
伊織さんはちらっと俺へ視線を寄越し
すっと外すと 椅子の背もたれにドカッと
背中を預けた。
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