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時間の無駄⑭
最初の印象と全然違った。
あんだけキツイ物言いをする人だとも
思ってなかったし。
まあ相当年上なんだろうし 仕方ないのかも
しれないけど。
それに 何か人を信用していないように感じる。
必要以上にドライにして外壁 山ほどおっ建ててる
雰囲気。
まあ沢木さんは信頼しているんだろうけどな。
そんな人と恋人のフリなんて
イラッとしない自信が無い。
あーあ。。。
後悔は時間の無駄って言われて
もう後悔してるんですけど。
ずーんと凹みながらカウンターをふきんで
拭いているとドアが開き 拓真が店に入ってきた。
「・・・何やってんだよ。」
「ああ。拓真。」
ひらひらと手を振るとタケルが拭いていた皿を置き
急いでカウンターに戻ってくる。
「拓真さん。いらっしゃーい。聞いてくださいよ。
柚さんねぇ・・・。」
話しだそうとする口を急いで塞いだ。
もう。余計な事言うなって・・・。
目を丸くしながら拓真はカウンターに座り
ポケットから煙草を取り出し火をつける。
「何なんだよ。」
ちろっと俺に視線を向けて
話せ。と無言の圧力をかけてきた。
碓氷拓真
ガキの頃からの幼馴染。
勉強もすごい出来てスポーツマン。
背も高くてイケメンと文句のつけようがない
男の敵みたいなヤツ。
でも本人は自覚が全く無いのか
女子にキャーキャー言われても気にも留めず
男とばっかり連んで遊んでいて。
性格もサバサバしてて すごい気持ちのいい奴だ。
俺とはその中でも気が合って。
学生の頃はいつも一緒に居たし
拓真がいい大学行っていい会社に入って離れても
こうやって仕事の合間や会社の帰りに
コーヒーを飲みに来る。
会社近くだって言ってたけど
そういやどこかとかは聞いた事が無い。
まあ。聞いてもわかんないしな。
未だにしょっちゅう飲みにも行くし
自分にとっては大事な繋がりで。
・・・でもなあ。
男に交際申し込まれたなんて。
それも金で。なんて言ったら絶対に怒られる。
それで無くてもよく怒られるし。。。
誤魔化すように視線を外し コーヒーをドリップして
温めたカップに移す。
拓真はいつもブレンドしか飲まない。
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