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対等②

「で。何の御用ですか。もう時間もかなり 遅いですけど。」 ああ。と沢木さんが頷いた。 「柚くんのスーツをね。作りにきたんだ。」 へ? スーツを作る。。。 作るって何? 「作るって・・・。もうこんな時間だし まず作るってどういう意味ですか? 売ってあるヤツ買えばいいんじゃ・・。」 「吊るしを着ているような奴を連れて歩けるか。 スーツと言えばオーダーだ。当たり前だろう。」 伊織さんはスパンとそう言い切って ビルの中へ入っていく。 「まあ。そういう事らしいから。ささ。行くよ。」 沢木さんに背中を押されながら 伊織さんの後をついていった。 「え。。でもお店やってないし。。あの。。」 抗議は届かず エレベーターに乗せられ どこにも止まらずあっという間に最上階へとつくと ドアが開く。 ふかふか絨毯の廊下を歩いていくと一番奥の 重厚なドアを沢木さんが開けた。 「いらっしゃい。」 白髪の品の良さそうな初老の男性が こちらへ振り向きニコッと笑みを浮かべる。 「伊織。元気そうだね。」 「すいません。住田さん。こんな時間に。」 伊織さんは呼びかけられ頭を下げた。 初めて聞く丁寧な口調に目を丸くしていると 住田さんと呼ばれた男性はすっと俺に視線を向ける。 「彼の分かな?」 ええ。と伊織さんが頷いた。 「住田さんは日本の中でも指折りの テーラーなんだよ。」 沢木さんがそっと耳打ちして教えてくれる。 え。。そんな。。 「ちょっ・・・そんな凄い人に作って貰うとか 俺なんて・・そんな・・えっと・・・。」 「たかだが服ですよ。」 住田さんはそう言って優しい笑みを浮かべた。 ゆっくりと近づいてきて上から下まで眺められる。

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