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対等⑪
うーん。。
喉渇いた。
柚はベッドの中で身動きしようとして
ガッシリと抱きしめられている事に気づく。
へ。
そろそろと目を開けると スーツのまま爆睡している
イケメンの顔が目の前にあった。
「うわっ!」
思わず声を上げると 伊織さんは眉間に皺を寄せ
それでも目を開けない。
あー。そっか。。
あのまま勝さんの店でガンガン焼酎の出汁割を
二人で飲み 皿を返しに来た運転手さんに
伊織さんは帰れと言って。
店じまいまで飲み倒し ベロベロになって
二人で俺のアパートまで歩いて帰ってきて。。
そのまま寝ちゃったんだ。。
ってどうしよう。
いくらなんだって男同士で抱き合ってんのって
ちょっとヤバくないのかな。。
でも いくら動いてもビクともしない。
この人。寝ててもいい男だな。。って
「違うっ!」
また大声を出してしまうと 伊織さんは
顔をしかめながら ゆっくり目を開け
ギョッと仰け反った。
「おはよう・・ございます。。」
「ああ・・ここは・・。」
「俺のアパートです・・ね。酔っ払って
うちに来たみたいです。」
緩んだ腕から逃れ ベッドを降りる。
上半身を起こした伊織さんに
「今、コーヒー淹れますから。」
そう言って とりあえず冷蔵庫から
水のペットボトルを出して渡した。
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