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対等⑮

「アイツとは学校が一緒で。 誰とも交わらない変人って噂されてて 面白そうだったから近づいたら本当に面白くて。 それからの付き合いなんだけどね。 あのルックスで唸るほどの金持ちだし 山程 人は寄ってくるのに全部見事に蹴散らしてて。 あの口調で。」 くすくす笑いだす。 「俺も最初はかなり激しく当たられたけど 気にしないで向かってったら 気づけばいつも一緒に居るようになってさ。 そうだね。柚くんの言う通り。 根は素直なんだろうな。 多分 アイツにとって俺が初めての 外部の人間だったんだろうし。 本家の言う事を聞かずに自分で会社を 立ち上げるから手伝えって言われた時は かなりびっくりしたけど。」 「それが今やられている会社なんですか?」 うん。と沢木さんは頷いた。 「仕事はかなり出来るよ。 洲崎の力を一切頼らずにあれだけ出来るとは 正直俺も思ってなかったぐらい。 仕事相手には流石にそんな態度取らないしね。 で。本家が次に考えた事が・・・。」 「政略結婚で跡取り作りって事ですか?」 そ。と沢木さんは苦笑いを浮かべる。 信じらんない。 イマドキそんな古臭い話あるんだ。 「で。腹に据えかねてゲイ発言・・・・。」 それが俺に。 「本家はまだ疑ってるけどね。」 「・・・成る程。理解出来ました。 まあ。なんで俺?とはやっぱりまだ 思いますけど。。」 「そうだよね。でも。まあなんとなくは わかるかなあ。伊織。この店好きだからね。」 え。 それが理由? それはちょっと・・・。 と思ったのが伝わったのか沢木さんは急いで 手をひらひらと振った。 「珍しい事なんだよ。アイツがコーヒー飲む 理由だけで 店に立ち寄るなんて。 基本的に時間を無駄にする事はしないからね。 きっかり一時間だけどあそこに座って コーヒーを飲んで川を眺める。 唯一アイツが何もしない時間なんだ。」 確かに。 いつもずっと川を眺めてて。 コーヒーを飲みに来ていただけの頃は 穏やかな印象だったし。 まあだからあの口調に余計に びっくりしたんだけど。。

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