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対等⑰

あれ。 「伊織さん。いらっしゃい。」 珍しいな。こんな時間に。 「沢木さん。さっき夕飯食べに来てたんですよ。」 そう声をかけると ああ。と返事をするだけで かなり不機嫌そうな表情でいつもの席へと座る。 うーん。。。 さっきの話がまた脳裏に浮かんだ。 何か嫌な思いでもしたのかな。 基本 態度がいい人じゃないのはわかったけど でもこの間一緒に居て この人って 自分に正直なんだなとも思って。 嫌な事は嫌。ダメな事はダメ。 でも勧められれば試してみる柔軟性もあるし 良ければ素直に認める事も出来る。 まあ。態度が横柄なのはどの時も あんま変わんないけどね・・。 気づかれない様に含み笑いをして いつものコーヒーを入れる準備をする。 うちの店で一番高いブルーマウンテン。 勿論香りも旨味も一級品。 自信を持って出しているコーヒーだけど でも 俺は自分で配合したブレンドも 負けてないと内心自負してんだよね。。。 ああ。そうだ。 今までは何も言わずにいつもの通り ブルマンを出してたけど・・・。 「伊織さん。」 煙草を吸いながら川を眺めていた伊織さんが ん。とこちらに振り向く。 「俺。今日のブレンド自信があるんですけど。 飲んでみます?」 ダメもとでそう言ってみた。 「ブレンド・・・。」 首を傾げ 全く頭に無かったって顔。 そうだろうな。 この人は自分の世界にある物だけを知ってる。 勿論その全てが一流品で それだけで充分満足だろうけど。 知らない事を知るのって楽しい。 って俺は思うんだよな~。 この人にもそう思って貰いたい。

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