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対等⑱

余りにも住む世界が違いすぎるんだし だからこそせめてこの2カ月間は 楽しんで過ごしたい。 お互いに。 うん。 さて。どうするか。 伊織さんは腕を組み じっと俺の表情を伺ってる。 ブレンドがどういう物かはっきりとも わかっていない中で俺がどれくらい 自信があるのかを図ってんのかな。。 ・・機嫌悪い時に仕掛ける事もなかったのかも。 ちょっと後悔し始めた時 「ああ。じゃあそれを貰おう。」 伊織さんはそう言って煙草を灰皿に押しつけた。 よし。 「はい。」 頷いてすぐに支度を開始する。 充分に注意しながらドリップして 温めたカップに移す。 うん。 いい香り。 「お待たせしました。」 テーブルにそっと置くと 伊織さんはちらっと こちらへ視線を送り カップを持って口をつけた。 すぐに置くと ふむ。とまた腕を組む。 「何を以てして自信があるというんだ。 例えば香り。甘味。苦味。 どこをどう比べて自信があると言える? 普段俺が飲んでいる物と比べて このブレンドやらが どう優れているのか。 どうして店主がそれを客に勧めたのか。 そういった事まで考えて君はこれを 俺に飲ませたのか?いや。そうとは思えない。」 え。 ピシャンと容赦なく頬を叩かれたような気になった。 ああ。そっか。。 そうだったかも。 いつも同じ物だから違う物を飲ませて 珍しい。美味しいって言って貰ってって それだけ考えて・・・。

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