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対等⑲

急にひやっと冷静になる。 驕ってた。 この間上手くいったからって・・・。 「す・・すいません。あの。そうだったかも しれません。今 淹れ直してきます。。」 何やってるんだろ。 調子に乗ってた。 相手はお客さんなのに その人が望む物を出すのが 俺の仕事で・・・。 急いでカップを下げようと手を伸ばすと 伊織さんはすっとカップを持ち上げる。 また口をつけて ゴクッと飲んだ。 「ブレンドとは豆の配合を変えて 味や香りの変化を楽しむ物だったか? その店独自の配合・焙煎とやらで特徴を打ち出す 大事な看板商品。だろう?」 ・・知ってたんだ。 「あ。はい・・・。」 「ならば何故言い返さない。 君が俺に自信を持って勧めたなら この配合にどれくらいの手間暇をかけ 俺が普段飲んでいる物との違いを説明し だから勧めたのだと言い切ればいい。 それが言えない時点でそういうつもりで 勧めたわけではないと認めたようなものだ。」 容赦なく畳みかけられる。 はい。その通りです・・・。 自信が無い訳じゃない。 始めた当初から苦労していて 最近はだいぶ安定した味を提供出来るように なってきたし たまにじいちゃんから 教わっていない配合も試してみている。 今日はその中でも自分で上手くいったと 思っていたから 本当に自信があったんだけど。 でも。伊織さんに勧めたのはそういう事じゃない。 そこを見抜かれたんだ・・・。

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