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ビジネス②

返事を待たずに冷蔵庫を開ける。 うん。明日は定休日だし使い切るには丁度いい。 ・・・・って。 ああそうか。 もしかしたら明日俺 休みだからか。 この人って意外とそういう細かい所 気を遣うんだよね。 あれから数回飯には一緒に行っている。 それも俺の行きつけに行きたがるから 熊澤さんのとこ連れて行ったり 大衆居酒屋に連れて行ったり。 ホッピー専門店にも。 大体誘ってくるのがうちの定休日。 で 仕事帰りは定休日の前日。 大した話もせずに飯食って酒飲んで。 でもなんか結構居心地がいい。 相変わらず 辛辣な口調で怒られる事もあるけど 忌憚ない貴重な意見が聞けたりもするから すごく充実した時間を過ごせていたりもする。 それにかなりズレていて面白いし。 こうやって誘ってくれるのは ビジネスだから だけじゃなくて 少しは楽しいと思ってくれてる ような気がした。 でも クローズ前にうちに来てピンポイントで おでん!ってリクエストは初めて。 「腹って減ってます? 適当にチーズとか 出す方がいいかなぁ。 ポークジンジャーとか スモークサーモンのマリネ・・後は・・・。」 「オムライス。」 え? 「オムライス・・ですか?」 酒飲むのにガッツリ飯とかいいのかな・・。 それともまずは腹ごしらえ・・・。 伊織さんはジャケットを脱ぎ ネクタイを緩める。 「沢木が旨かったと自慢ばかりだ。 なかなか機会も無かったから丁度いい。」 あー。それか。 伊織さんって自分が知らないのに 沢木さんが知ってるとか嫌みたいだもんね。。 まあ。いいか。 「じゃあオムライス作ります。 それはここで食って 酒は上で飲みましょうか。」 そう提案すると コクンと頷いた。

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