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ビジネス⑫

長い間 伊織の運転手をしてくれている笹目さんが この間言ってたなぁ。。 たまたま 俺と別行動だった伊織は 昼食会へと向かっていて。 「止めろ。」といきなり指示を出し 一旦停車すると 車を降りて店に向かい何やら買って戻ってきたらしく 「食え。と私にコロッケをお渡しになったんです。 どうも柚様から【あそこのコロッケはマジ旨い】 あ。そのまま坊ちゃんが口調を真似て そう仰ったんですが。そう聞いていらした様で。 向かう際に道を指定されましたから 最初から 寄ってみようと思っていらっしゃったのだと 思うのですが まさか私にまで買って下さるとは 思いませんでした。運転しながらは無理と お伝えすると 一旦駐車場に入れろと仰って。」 笹目さんは嬉しそうに微笑んだ。 「坊ちゃんに聞いてみた所 運転は重労働で 大変だから腹が減ると柚様から聞いていらした ようなんです。お店にいらっしゃるドライバーが よく食べるお話とか。お腹空かせて可哀想と 言われたらしく 知らなかったからすまなかった。と 謝って下さいました。」 昼食会だと言うのに 伊織は車内で 全種類のコロッケを食べたらしい。 まあ。元々 出される食事は旨いと思わなければ 手をつけないし あの日の店は好みじゃ なかったしな。 人への思いやりを伊織は今 学んでいるって感じ。 今までどうしてたんだ。とも思うけど あんな風に臆さず 向かっていく奴は居ない。 素直だと思うんです。って柚くんは言ってたけど 君だからかもね。とも思う。 まあ。何にしろ上手くいっていて良かった。 最初はどうなる事かと・・。 ふと 碓氷が目の前に立ち尽くしている事に 今更気づく。 「あれ。まだ何かある?」

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