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ビジネス⑬
碓氷は暫く躊躇し キッと顔を上げた。
「室長。鳩時計にはよく行かれますか。
川沿いに建つ喫茶店ですが。」
全く予想していなかった質問に ポカンと口が開く。
「ああ・・たまに仕事終わりにコーヒーを
飲みに行くけど。あそこのチーズケーキが好きでね。
それがどうしたの。」
碓氷はまた躊躇し それでも言葉を繋げる。
「それは洲崎社長もでしょうか。」
その声音があまりに真剣で ああ。何かあるな。と
思ったが とりあえず
「うん。伊織もあの店が好きでね。」
普通に返すと そうですか。と俯いた。
何だろう。
まさかあのビジネスの話ではないだろうが。
「それがどうしたの。碓氷くんもよく行くの?」
世間話のトーンを敢えて作ると
「あの店のオーナー。俺の学生時分からの
友人なんです。」
そう答えた。
「え。柚くんが?」
はい。と頷き 思い切るように碓氷は口を開く。
「柚が最近 何か面倒ごとに巻き込まれていると
聞きました。内容までは一切口を割りませんが
アイツ。昔からそういう事が多くて。
今回の件。洲崎社長と何か関係があるんじゃ
ないですか。」
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