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ビジネス⑭
「どうしてそう思うの?」
しらばっくれてみる。
知り合いなら余計面倒になりそうだ。
柚くんが話していないなら尚更。
碓氷は 暗い目で俺を睨みつけた。
「昨日。店のクローズ後に行ったんです。
話があったので。 中に入ろうとした時
カウンターに座る洲崎社長を見ました。
柚はよっぽどじゃないと クローズ後に
客を残しません。ましてや洲崎社長は
時間に厳しい方です。店主に迷惑をかけて
居座るような事は絶対にされない。
ならば 何かしら 客と店主の関係を超えた
間柄なのかと・・。」
あー。そういう事。。
おでんって言ってたけど 行かなかったんだな。
ふん。と息を吐き 椅子の背もたれに寄りかかる。
「たまたまじゃない。確かに伊織にしては
珍しく気が合うみたいで よく話してるから
その延長で・・。」
「会食をすっぽかしてですか。」
バシッと遮られた。
ああ。そうね。
優秀なのもこういう時は逆に困りますね。
「うーん。まあ。そうだったとして。
それが何か君に関係ある?
柚くんが決める事で あの子なら嫌だったら
嫌だって言うんじゃない。」
友人なら性格はわかっているだろう。
案の定 碓氷はぐむっと口籠った。
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