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ビジネス⑱
だけどそれも全部ビジネス。
恋人らしく見える様に擦り合わせる為。
わかってるけど・・・。
そういう気持ちでオムライス。
作ったんじゃない。
そうじゃないって言ったのに。
喜んで貰えるかなって。
食べたいって言われて嬉しかったから。
米粒一つ残さず夢中で食べてくれて。
正直な人だってわかったから
美味しかったんだって嬉しくて。
でも・・・。
その思いが踏みにじられた気がする。
全然わかって貰えなかった気になる。
だったら営業時間に来て食べて金を払えばいい。
そうじゃないと思ったから・・。
「・・・残り物で作ったんで。金は取れません。
今回はホントにいいので。
俺が勝手にした事ですから。」
そのまま皿を片付け始める。
きっともう何を言っても時間の無駄だって
思ったんだろうな。
伊織さんは何も言わずに下に降りて
そのまま店を出て行った・・・・・。
次の日の休みはずっと家に閉じこもって。
拓真から話があるってLINEが入っていたけど
返事も出来なかった。
なんでこんなにショック受けてるんだろ。
自分で自分がわからない。
何にショックを受けているのかも。
あーあ。
もう。どうしよう。
伊織さんとこれから一体どうすれば・・・。
その時ドアが開き 何やら難しい顔をした
拓真がツカツカと店に入ってきた。
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