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ビジネス⑲

まだ続行中か。 後部座席で沢木は隣に座る伊織をそっと盗み見る。 機嫌が悪いって感じでもない。 どうも何やら考え込んでいる。 昨日から様子がおかしかったが 今日は更に輪をかけてだ。 会議中も心ここにあらずって感じで 各課の報告もまともに聞いていない様に見えたし。 そんな事は滅多にないんだが。 思いつくのは一つしかない。 柚くんと何かあったんだろうな・・。 さっきの碓氷の話だと 仲良く一緒に居たんだろうと 思うんだが。喧嘩していたのだったら 碓氷が焦る訳も無い。 とするとその後何か・・・。 「このまま自宅でいいのか。」 わかっていながら そう声をかけてみると 伊織は む。と口をへの字にして 「何故そんな事をわざわざ聞く必要がある。 今日の予定は全て終わった筈だが。」 ぷいっと車窓へと目を向けた。 あらら。 仕方がない。 こういう時は真正面から強行突破がいいかな。 「そうだけどさ。昨日から随分と ぼーっとしているし。何かあったんだったら 解決もせず 家に帰っていいのかと思って。 また明日もこんな状態だと 仕事に支障が出るんでね。」 仕事が疎かになっているんだぞと 敢えてわからせるようにそう言ってやる。 これが一番効き目があるからね。 案の定 伊織は顔をしかめ 腕を組み 渋々口を開いた。

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