62 / 121

ビジネス㉓

「拓真。どうしたの? ああ。ごめん。 LINEスルーしたから心配した?」 急いで立ち上がり コーヒーカップを取り出す。 ああ。違うな。 「ビールの方がいいか?」 冷えたグラスを取ろうと 冷蔵庫に手をかけた時 「柚。」と聞いた事も無いような 低い声音で名前を呼ばれた。 え。 振り返ると 拓真は暗い表情で俺を見つめている。 「何。どうしたの? スルーしたのはごめん。 ちょっと忙しかったから疲れちゃって・・。」 「洲崎社長から何を頼まれた。」 ピシッとそう遮られた。 洲崎社長。 え? 洲崎って。。 「・・伊織さんの事か? なんで拓真が・・。」 「あの人は俺の会社の社長だ。」 吐き捨てるようにそう言われる。 え。。 拓真の会社の・・社長・・。 じゃあ。 「沢木室長が俺の上司だ。」 カウンターに近づいてくるけど 座りはしない。 拓真は真正面から俺を睨みつけ 「何か面倒な事に巻き込まれているんだろう。 一体何を頼まれた。あの人は人を人とも 思わないようなタイプで 仕事は出来るが 絶対に嫌な思いをする。今からでも遅くない。 ちゃんと断ればきっと・・。」 「ちょ・・ちょっと待てよ。」 捲し立てるのを慌てて止めた。

ともだちにシェアしよう!