73 / 121

ビジネス㉞

モグモグと咀嚼すると パッと目を見開く。 「・・・旨い。」 ほら~。 「そこですかさずこの酒を飲む。」 そう言ってコップ酒を渡すと 伊織さんはグビっと冷酒を飲み干した。 「ああ・・・。確かに。」 そう言って残っていたじゃがいも塩辛を 全部パクっと口に入れた。 小鉢に残っていた塩辛も全部。 ああっ。 「ちょ・・ちょっと。俺ももうちょっと 食べたかったのに・・。塩辛って そんな風に口いっぱいに入れるもんじゃ ないんですよ。ちびちび食べながら・・。」 「何故だ。旨いものは沢山一度に 口内に入れた方が旨いに決まっている。」 モグモグと噛みながらグビグビ 人のコップ酒を飲み干した。 勝さんは俺たちを眺めながらケラケラと笑い 「まだあるから。」 そう言って塩辛を出してくれる。 ああ。良かった・・。 小鉢を抱え込み じろっと伊織さんを睨みつけた。 「貴重な物なんですから。一遍に食べない。 いいですね。約束出来る?」 脅すようにそう言うと 伊織さんはつまらなそうに 肩を竦め それでもコクンと頷いた。

ともだちにシェアしよう!