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ビジネス㊲
そうだな。
だから。俺もそうだったのかも。
一緒に酒飲んだり飯食ったりして
時間を共にして 仲良くなった気がして。
伊織さんはまた首を傾げた。
変なの。
わかんないんだ。
そんな事ってあんのかな・・。
「そんなに誰も彼も見返りって求めてくるんですか?
恋人の話してた時もそうですけど・・。」
「ああ。だからこそ君の言う事が
どうにも理解が出来なくて・・。
ただ。一つ確認したい事がある。
好意とはなんだ。君は俺が好きなのか?」
は。
「え?」
「好意とは読んで字の如く
相手に好意を寄せるという事だ。
つまり君は俺が好きだという事になる。
だからビジネスという言葉に異常に反応したのか?
君が俺を好きだから色々してくれる
それを俺が受け止めていないと・・・。」
「ちょ・・・ちょっと待って待って。」
む。と不満そうに伊織さんは口を噤む。
何言いだすんだこの人・・・。
そっと周りに目を向けると 皆さん話に夢中で
誰もこちらには気も留めてない。
・・よかった。
ホッと胸を撫で下ろした。
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