77 / 121

ビジネス㊳

「好きって・・。まあ。もちろん 嫌いじゃないですよ。好きですけど でもそういう好きじゃなくて・・。」 「どういう好きだ。それにはそんなに 種類があるのか。ならば君の言うその好きとやらに 俺はどうするのが正解だったのか。 その前にキスした時から・・。」 「はい。ストップ。」 急いで伊織さんの口を塞ぐ。 もー。 こんな公共の場で・・・。 「伊織さんは人を好きになった事無いんですか。」 やけくそでそう尋ねてみる。 どうせある訳が無いとか言うんだろうし。 するとしばらく うーん。と考え込んだ。 あれ。なんかあるのかな。 ちらっと俺を見る。 また何やら考え込み ふるふると首を振った。 「今まで関係を持った人間に対して 好きという感情は一切無い。 好きに種類がある事も知らなかった。 だが 君の言うように知らない事を知る努力は するべきだな。善処する。」 そう言って グビグビとポン酒を飲み干した。 変なの。 つい吹き出すと ムッとされ その顔がなんか 可愛くて 余計に笑いが治らない。 「ホント伊織さんって面白い・・。」 一頻り笑い はぁ。と息を吐くと 優しい瞳と目が合った。

ともだちにシェアしよう!