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鳩時計⑮
「え。」
柚は驚いたようにぽっかりと口を開けた。
散々俺の行きつけも行き尽くし
ならばたまには俺が行く店に行ってみるかと
伊織さんが誘ってくれて。
で。笹目さんの運転で連れてこられたのが
車で一時間ちょいくらいの この海沿いに建つ
高級旅館。
旅館って・・。
戸惑う俺に伊織さんはニヤリと笑い
「そういうつもりではないが
気になるようなら止めるがどうする。」って。
そんな風に言われたら ねぇ・・。
勝手に一人で意識してるみたいに
なっちゃってカッコ悪い。
「別に気になってません。」って
強がっちゃったけど内心激しく後悔してる。
だって・・。
俺。内心この人の事好きって
もう認めちゃってんのに。
どうすんだろ。
心臓が破裂しそうでドキドキが止まらない。
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