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鳩時計⑱
そう。
自分で決めた事だった。
じいちゃんにそう言って貰って
少しだけど気が楽になって。
それでも我慢出来なくて涙が出て。
じいちゃんも一緒に泣いてくれた。
心の中で何度もごめんって謝って。
口に出すと怒られるから心の中で何度も何度も・・。
閉店した後の事 それからどうやって生きていくか。
正直今は何もまだ考えられない。
だから。とにかくこのビジネスだけは
しっかりと終わらせてって思う。
こうやって伊織さんと一緒に居れる時間も
もうそんなには残されてないから・・。
個室に通されて一枚板のテーブルに
向かい合わせで座る。
どんどん料理が運ばれてきて
その豪華さに目を見張った。
「凄いですね。なんか正月みたい。」
そう言うと伊織さんは首を傾げる。
「正月はこうなのか。」
ビールグラスをカチンと合わせ 口をつける。
ああ。旨い。
ちょっとホッとする。
「こういう所って なんか勝手に一品ずつ
出てくるイメージあったんで。
こんなに沢山豪華な料理が並ぶと
なんかお祝いみたいじゃないですか。」
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