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鳩時計㉒

始まる前は2か月もって思ったのに。 振り返ればあっという間。 目紛しく色んな事があって 気づけばこの人を好きになって。 来週末で全部終わる。 この人とこうやって一緒に居るのも それが最後。 全て失って 元に戻る。 勝手に芽生えた気持ちだけが自分に残って・・・。 「・・あの。伊織さん。」 ん?と目だけで返事をされた。 「この旅館って・・。今からでも・・ 泊まれたりするんですか。」 何も考えず口からぽろっと言葉が零れ落ちた。 離れたくない。 でもそれは叶わない。 だったら・・・。 伊織さんは箸を置き 真正面から じっと俺を見つめた。 「それがどういう事を意味するのか 君はわかって言っているのか。 つまり俺の事が好きだとそういう事か。」 そう。 俺はこの人が好き。 好きになってしまった。 だけどそれを認める訳にはいかない。 ビジネス上の関係。 これはそのまま突き進めないと・・。

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