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鳩時計㉔

「・・・柚くん。聞いてる?」 沢木さんにそう声をかけられ ハッと我に返る。 「すいません。あの・・。」 沢木さんは苦笑いを浮かべ ほら。と俺にスーツが入った袋を手渡した。 「これ。明日迎えに来るまでに着替えておいてね。 店を休ませてしまって申し訳ないけど。」 「ああ・・。大丈夫です。 最初からそうするつもりでいたので。」 それは嘘。 最初はそんな事考えてもいなかった。 だけどとてもじゃないけど仕事なんて 手につかないだろうし・・。 沢木さんは立ち尽くす俺をじっと見て ニコッと笑みを浮かべた。 「本当に今までありがとね。 柚くんに頼んで良かったよ。」 「あ・・。いえ。」 返す言葉が見つからず 頭を下げる。 楽しかったな・・。 何なんだって思う事 沢山あったけど でもすごく楽しかった。 そういう意味でも後悔はしていない。 後悔している事は・・。

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