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エピローグ②
「あの・・・。」
柚は恐る恐る口を開く。
目の前にある伊織さんの顔が
またか。と呆れた様に歪んだ。
「なんだ。まだ何か異論があるのか。」
いやいやいや。
「だって・・。なんでいきなり
こうなるんですかっ!」
車に無理矢理乗せられて。
そのままこの間の高級旅館に連れて来られて
離れの食事処ではなくそのまま
引き摺る様に部屋に入り・・・。
で。
今 何故か広いベッドの上に押し倒されている。
伊織さんは はあ。と深いため息をつくと
ゴロンと横になり肘をついてじろっと睨んだ。
そんな睨まれても・・・。
「言っただろう。好意だと。
それに対してわかったと答えた筈だ。」
へ。
「だから。それはそういう意味じゃ・・。」
「そうか? 本当にそういう意味じゃないと
誓って言えるのか。ならば何故俺に話さなかった。
話せば俺が縁談を了承すると先走って
考えたからでは無いのか。
つまり。君は大事な店を失ってでも
俺の幸せを願い 優先させた事になる。
それがただの好意などというものでは
出来ない事ぐらい この2ヶ月で充分に学んだが。」
鼻をむぎゅっと摘ままれ ふるふると振られた。
・・・わかってたんだ。
「じゃあ・・なんで・・。」
なんで言わなかったんだろ。
伊織さんは俺の背中に腕を回し
グイッと引き寄せる。
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