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第3話
外は雪が降り始めていた。ここは埼玉県なので雪の日は交通網が麻痺する。送迎のお兄さんの車はスタッドレスだと思うが、俺は自宅からここまでは電車だ。早く帰らせて貰って家でゆっくりしたい。今月の始めは正月だったが休みのデリヘル嬢が多かったのでやたらと忙しかった。新年から性欲の塊ばかりに会うのは正直言って辟易する。しかも成人式の日は途端に忙しくなると智哉くんは言っていた。大人になった記念に筆下ろしをするんだそうだ。
俺はテレビを観ながら、今日はお客さんに付かなくてもいいやと考えていた。財布の中は寂しかったから一日に一人くらいと肌を重ねた方がいいのだろうが、デリヘルの他にレンタルショップでも働いているから心配をする必要もあまりない。デリヘルだって給料がいいのは簡単に稼げるからで、一日2人も相手すれば疲れてしまう。貰えるお金だって一人頭1万円をいかない。それも殆ど例のチンピラたちに吸い上げられてしまっている。だからこうして男の子たちとテレビを観たりお喋りをしたりしている時間の方が好きだ。
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