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第10話

 家に帰り、スポーツドリンクを飲む。そういえば高校生のときはラグビーをやっていたからスポーツドリンクをよく飲んだ。そんなにムキムキの体格ではないがデリヘルのお客さんたちは見た目より筋肉があるんだね。と言う。大学に入ってからスポーツはしてないから少し痩せたがそれでもその辺の男の子よりは逞しいと思っている。  今日はサバの味噌煮だった。それにほうれん草の胡麻和えに茶碗蒸しだ。そんなに凝らなくてもいいよ、と言うのだが、お母さんは家事だけはきちんとしたいという。こうして遅くなる俺のためにお腹を空かせて待っていてくれるお母さんのことを考えると苦しくなる。お母さんは料理だけじゃなくて家事全般をこなす。天国のお父さんが見張っているような気がするんだそうだ。天国のお父さんが俺を見たらさぞや憤慨するに違いない。デリヘルなんかで働いているのだから。 「まだ、雪が降ってるのねー。運送会社も事故を起こしたトラックがいるの」 「え、それは大変じゃん」  俺は目を見開く。 「保険に入ってるからなんとかなるけど、この辺で雪はキツいんじゃない」 「そうだね。俺も転んじゃったよ」  まだ、捻ってしまった足が痛い。

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