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第12話

 待機室に行くと昨日に入店したばかりの光くんが泣いていた。乱暴されたんだという。店長に言ったか?と訊いたら脅されたんだ。と涙ぐむ。もしかして俺を犯した奴らの仲間か?ちくしょう許せない。こんなに人の良さそうないい子に乱暴するなんて。智哉くんは背中を摩ってあげていた。光くんは、もうこの仕事辞めようかな、と呟いた。  今日は平日なので7時くらいまではニュースをやる。テレビでは雪が降って交通網が麻痺していることをニュースキャスターが言っている。俺はゴロリと横になってテレビを観た。光くんに興味津々になったら逆に可哀想だ。その時スマホが着信を告げた。俺は電話に出る。 「120分の指名ですよー」  事務員さんが言う。2時間か、長いな。仕事だから仕方ないか。いいお客さんでありますように。俺は階段を下りて事務所に行った。送迎をしてくれるお兄さんが笑顔で「この辺で一番高いホテルに呼ばれてます。金持ちじゃないかな」と言った。金持ちは変態さんが多いのであまり嬉しくはない。偏見かな。  スタッドレスをはいた送迎車に乗ってインターの近くのホテル街へ行く。灰色のタイルで出来たような高級なホテルの駐車場へ車は停まった。 「502号室ですよ。連絡があったら迎えに来ますから、きちんと15分前には事務所に電話をいれてくださいね」 「ああ、分かった」  入浴剤の匂いがするフロントを通り過ぎエレベーターで5階に上る。予め部屋のドアは鍵が開いていた。連絡が来ているんだろう。スリッパを履きベッドルームへ行くと、あのインテリ風の感じのいい人がベッドに座っていた。品の良さそうなスーツ姿だ。

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