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第14話

「晴臣も飲む?」 「飲みたいけれど車なんだ」 「代行を頼めばいいじゃん。一人で飲むなんてつまんねえよ」 「野々、俺は、あ、何でもない」 「っんだよ、言いたいことがあったら言えよ」  俺は苦笑して晴臣がスーツを脱ぐのをベッドに腰かけながら見守った。シャツまで脱いでボクサーパンツ一枚になったのを確認するとビールを投げてやった。 「ほら、飲め」 「悪いな、さ、一緒に雪でも見るか」  晴臣はパンツを脱ぐ。まだ勃起はしていなかった。ここで立っていたら引いてただろう。俺たちは戸を開けて外に出た。冷たい空気が肌に感じられて震え上がりそうになった。足をちょんちょんとお湯に入れて温度を確認するとちょうどいい熱さだった。  舞い落ちる雪を見ながら学校の話だとか、友達の話だとか仕事に関係のない話をする。晴臣は証券会社で働いていると言った。 「マジ、堅そうな仕事だな」 「ハハハ、そんなことないよ。野々は将来は何になりたいんだ?」 「俺は郵便局とか銀行がいいなあ。親がさ、金貸しの仕事してたんだ。お金にかかわる仕事がいい。で、お母さんが喜ぶような仕事だったらもっといい」 「俺の知り合いに銀行マンがいるから紹介しようか?」 「って、何て紹介すんだよ、デリヘル嬢だって言うのかー」  俺は可笑しくなった。晴臣は真面目な顔をしながらビールを飲んでいる。俺は500の缶を飲み切ったのでサワーを取りに部屋に戻った。ベッドの枕の上にある鏡に自分の姿が映った。なにやってんだ?俺。

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