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第3話 高鳴りの正体
榛にトゥンクし始めてからの俺は、部活以外の時間も視界の端であいつの姿を追うようになっていた。
登下校の時、休み時間や、全校集会、授業中教室から見えるグラウンド・・・
あらゆる所に榛の存在を感じたくて。
あ、榛だ・・・
休み時間の廊下の奥で、同級生達とふざけ合う榛を見つけた。
それだけで何だか胸が苦しくなる。
うう~、何だよこれ・・・
放課後、補習を受けたせいで部活に少し遅れた俺は、誰もいない部室で着替えていた。
ガチャ
「おつかれっす」
遅れたやつが他にもいるのか・・・
振り返ると、榛が眠そうな顔で立っている。
え?二人きり?しかも俺、上着てない・・・
途端に恥ずかしくなった俺は、榛にバッと背を向ける。
「おおおおつかれっ」
「すいません、保健室で寝てたらうっかり寝過ごしちゃって」
「そーなんだ。ほほ補習受けてて、遅れたから、俺も・・・」
背後に榛の気配を感じる。
えええ~、なんで真後ろに立ってんの?ええ~?
突然、上半身裸の俺を榛が後ろから抱きしめる。
えええ~、何これ何これ!ちょ、心臓飛び出る!
「ねえ、先輩。・・・二人のときはあきって、呼んでいいですか?」
「え・・・」
「なんか、樫村さんって呼ぶの、慣れなくて」
「いいいいい、いい、けどっ」
やめろ~、耳に息がかかって変な気分になるじゃねーか!
「良かった、やっぱあきは優しいね。俺がミニバスでケガした時、こうやっておぶってくれたよね」
「・・・あ・・・」
俺は、ミニバス時代に足を捻挫した榛をおぶって救護室に連れていった事を思い出した。
「あの時は俺の方が小さかったけど、今は、あきの方が小さいね。おぶさっても、あきの体、ただ抱きしめてるみたい」
「っああ!成長したよな!おまえ!」
「・・・なんか、あき、かわいいな」
やめろよ、なんでそんなこと言うの?
俺はバクバクする心臓の音が榛の声に重なって聞こえるような気がした。
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