7 / 56
第7話 駄犬のしつけ方
部活を終え、榛とふたりで部室を出て人気の無い校舎横を歩く。
「榛、ラーメンでいい?」
俺の後ろを歩く榛に聞く。
「なんでもいいです!」
振り返ると笑顔で答える榛。
よかった。機嫌、直ってるみたいだ。
「樫村先輩、髪にゴミついてますよ」
そう言って後ろから、榛にツンと後ろ髪を引っ張られる。
「あ、さんきゅ・・・」
いて、いててて。いつまで引っ張って・・・
「ラーメンの前にちょっと付き合ってください」
髪を掴まれたまま、後ろ向きに引っ張られ、非常階段下に連れていかれる俺。
「ちょちょちょ、榛、痛い、ガムでもついて・・・いでっ」
グイッ
強い力で引っ張られ、上を向かされる。
目の前には、上から見下ろす榛の怒った顔がある。
「な、なに?どした?」
「センパイ、俺の玩具って自覚あんの?」
「え、なに?おもちゃ?」
「この前、あきで遊ぶって言ったでしょ」
「・・・あ」
「俺のもんなのに、なに簡単にひとに触らせてんの?」
ぐぐぐっと髪を掴む榛の手に力が入る。
「いててててて!ちょっと、マジで痛いって!」
「痛がってるあきの顔、マジでさいこー」
反り返る程髪を引っ張られ、痛くて涙が出そうになる。
「はは、なにその顔、ちょーかわいいんだけど」
「っんん~!」
上を向かされたまま、榛が頭上からキスしてくる。
「はぁ、んん、うぅ」
「あき、気持ちい?」
やばい。榛の舌が俺の舌に絡みついてきて、きもちいい・・・立っていられなくなる・・・
榛の手がシャツの下から入り込んで、直に上半身の肌を滑る。
あ、なんか・・・ゾクゾクして・・・
「いってぇ!」
上半身をまさぐっていた榛の指が、俺の乳首を思いっきり抓る。
「はは、トロけてるあきもカワイイけど、やっぱり痛がってるあきはもっとカワイイな」
「いた、痛いって!ほんっと、やめろって!」
「やだ。俺の玩具のくせに、人に遊ばせた罰」
「遊ばせたって、いてっ、なんだよ!」
「・・・松田さんに、ぐちゃぐちゃにされてた」
「え?あんなのただの・・・っひぃ!」
摘まれていた乳首を指で弾かれ思わず仰け反ってしまう。
「あきをぐちゃぐちゃにしていいのは俺だけだから」
「はぁ、はぁ、な・・・んだよ、それ」
パッと榛の手から解放され、地面にへたりこむ。
「次、触らせたら、もっと酷い事するから、覚悟しててね」
「・・・なっ・・・」
「ラーメンはまた今度でいいや。じゃあ、おつかれっした。先輩」
軽い足取りでさっさと帰ってしまう榛。
えええ~!なにあれ。おもちゃって・・・
一瞬でも気持ちいいなんて思った自分が恥ずかしいわ!
・・・あ、また謝りそびれちゃったな。
なんだよ、おもちゃって・・・
俺は、ズキズキと痛む胸に、気付かないふりをした。
ともだちにシェアしよう!