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第7話 駄犬のしつけ方

部活を終え、榛とふたりで部室を出て人気の無い校舎横を歩く。 「榛、ラーメンでいい?」 俺の後ろを歩く榛に聞く。 「なんでもいいです!」 振り返ると笑顔で答える榛。 よかった。機嫌、直ってるみたいだ。 「樫村先輩、髪にゴミついてますよ」 そう言って後ろから、榛にツンと後ろ髪を引っ張られる。 「あ、さんきゅ・・・」 いて、いててて。いつまで引っ張って・・・ 「ラーメンの前にちょっと付き合ってください」 髪を掴まれたまま、後ろ向きに引っ張られ、非常階段下に連れていかれる俺。 「ちょちょちょ、榛、痛い、ガムでもついて・・・いでっ」 グイッ 強い力で引っ張られ、上を向かされる。 目の前には、上から見下ろす榛の怒った顔がある。 「な、なに?どした?」 「センパイ、俺の玩具って自覚あんの?」 「え、なに?おもちゃ?」 「この前、あきで遊ぶって言ったでしょ」 「・・・あ」 「俺のもんなのに、なに簡単にひとに触らせてんの?」 ぐぐぐっと髪を掴む榛の手に力が入る。 「いててててて!ちょっと、マジで痛いって!」 「痛がってるあきの顔、マジでさいこー」 反り返る程髪を引っ張られ、痛くて涙が出そうになる。 「はは、なにその顔、ちょーかわいいんだけど」 「っんん~!」 上を向かされたまま、榛が頭上からキスしてくる。 「はぁ、んん、うぅ」 「あき、気持ちい?」 やばい。榛の舌が俺の舌に絡みついてきて、きもちいい・・・立っていられなくなる・・・ 榛の手がシャツの下から入り込んで、直に上半身の肌を滑る。 あ、なんか・・・ゾクゾクして・・・ 「いってぇ!」 上半身をまさぐっていた榛の指が、俺の乳首を思いっきり抓る。 「はは、トロけてるあきもカワイイけど、やっぱり痛がってるあきはもっとカワイイな」 「いた、痛いって!ほんっと、やめろって!」 「やだ。俺の玩具のくせに、人に遊ばせた罰」 「遊ばせたって、いてっ、なんだよ!」 「・・・松田さんに、ぐちゃぐちゃにされてた」 「え?あんなのただの・・・っひぃ!」 摘まれていた乳首を指で弾かれ思わず仰け反ってしまう。 「あきをぐちゃぐちゃにしていいのは俺だけだから」 「はぁ、はぁ、な・・・んだよ、それ」 パッと榛の手から解放され、地面にへたりこむ。 「次、触らせたら、もっと酷い事するから、覚悟しててね」 「・・・なっ・・・」 「ラーメンはまた今度でいいや。じゃあ、おつかれっした。先輩」 軽い足取りでさっさと帰ってしまう榛。 えええ~!なにあれ。おもちゃって・・・ 一瞬でも気持ちいいなんて思った自分が恥ずかしいわ! ・・・あ、また謝りそびれちゃったな。 なんだよ、おもちゃって・・・ 俺は、ズキズキと痛む胸に、気付かないふりをした。

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