8 / 56

第8話 ストレッチは何の時間 1

俺は最近、部活の時間がこわい・・・ 榛がまわりをうろつくし、いつでも視線を感じるし、練習後のストレッチでもやたらとペアを組みたがるし・・・ なんだよ~、何考えてるかわかんないから超こえぇよ・・・ 「樫村先輩、ストレッチやりましょ」 「あー、うん・・・」 ほら来た、今日も来た。 なんで俺だよ!1年同士で組めよ! ・・・って言えたらいいのに・・・ 「先輩、相変わらず体かたいっすねー」 「・・・ああ、そーだな」 うるせえ!っと言いたいところなのに、榛の地雷がどこにあるかわからない以上余計な事は言えない。 「俺が鍛えてあげますよ」 榛が、前屈している俺に覆いかぶさって、体重をかけてくる。 「痛い痛い痛い痛い!もーいいから!」 「なあ、こーやってると、みんなの前で襲ってるみたいだよな」 「は?はあ?何言って・・・痛たたた」 覆いかぶさったまま、耳元で俺にしか聞こえないように榛が囁く。 やめろ~!息が、耳にかかって・・・ 「あき、耳真っ赤だよ?」 「は?そんな訳・・・」 「このまま、耳舐めていい?」 ええ!? 突然の榛の変態発言に焦って振り返ると、榛の顔が至近距離にあって ドキッとしてしまう。 「何?耳舐められるより、キスの方がいいんだ?」 「っなわけあるか!!」 「コラ樫村、まじめにやれ」 「す、すいません!」 くっそ・・・こいつのせいでキャプテンに怒られたじゃねーか・・・ 「ぷっ、怒られてっし、ウケる」 誰のせいだよ! 「あき、もう俺以外とストレッチ組むの、禁止だから」 「え!?な、なんで・・・」 「なんででも。言いつけ守んなかったら、あきが男とのキスで気持ちよくなっちゃうやつって、ポロッと言っちゃうかもなぁ~」 「それはっ・・・」 困る。ゲイだってバレたら・・・非常に困る! 「・・・わかった」 「じゃ、明日からもよろしくね、樫村先輩!」 ニッコニコで体育館を出ていく榛・・・ なに?今度は何考えてんだ?あいつ・・・

ともだちにシェアしよう!