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第8話 ストレッチは何の時間 1
俺は最近、部活の時間がこわい・・・
榛がまわりをうろつくし、いつでも視線を感じるし、練習後のストレッチでもやたらとペアを組みたがるし・・・
なんだよ~、何考えてるかわかんないから超こえぇよ・・・
「樫村先輩、ストレッチやりましょ」
「あー、うん・・・」
ほら来た、今日も来た。
なんで俺だよ!1年同士で組めよ!
・・・って言えたらいいのに・・・
「先輩、相変わらず体かたいっすねー」
「・・・ああ、そーだな」
うるせえ!っと言いたいところなのに、榛の地雷がどこにあるかわからない以上余計な事は言えない。
「俺が鍛えてあげますよ」
榛が、前屈している俺に覆いかぶさって、体重をかけてくる。
「痛い痛い痛い痛い!もーいいから!」
「なあ、こーやってると、みんなの前で襲ってるみたいだよな」
「は?はあ?何言って・・・痛たたた」
覆いかぶさったまま、耳元で俺にしか聞こえないように榛が囁く。
やめろ~!息が、耳にかかって・・・
「あき、耳真っ赤だよ?」
「は?そんな訳・・・」
「このまま、耳舐めていい?」
ええ!?
突然の榛の変態発言に焦って振り返ると、榛の顔が至近距離にあって ドキッとしてしまう。
「何?耳舐められるより、キスの方がいいんだ?」
「っなわけあるか!!」
「コラ樫村、まじめにやれ」
「す、すいません!」
くっそ・・・こいつのせいでキャプテンに怒られたじゃねーか・・・
「ぷっ、怒られてっし、ウケる」
誰のせいだよ!
「あき、もう俺以外とストレッチ組むの、禁止だから」
「え!?な、なんで・・・」
「なんででも。言いつけ守んなかったら、あきが男とのキスで気持ちよくなっちゃうやつって、ポロッと言っちゃうかもなぁ~」
「それはっ・・・」
困る。ゲイだってバレたら・・・非常に困る!
「・・・わかった」
「じゃ、明日からもよろしくね、樫村先輩!」
ニッコニコで体育館を出ていく榛・・・
なに?今度は何考えてんだ?あいつ・・・
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