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第17話 文化祭の災難 2
「樫村あきさん、ステージへ上がってください」
進行役から促され、しぶしぶステージへ上がる。
「え!男じゃん!」
「嘘でしょ」
会場が異様な雰囲気でザワつく。
なんの拷問だよ、コレ~!
榛とステージ上で向かい合って立つ。
榛の口がなんかモゴモゴ動いて・・・
え?なに?
『ことわったらここでおかす』
・・・断ったらここで犯す!?
ニヤッと笑う榛。
う、嘘だろ・・・。
「樫村あき先輩。俺、先輩の事が好きです。付き合ってください」
マイクを通した榛の言葉に、会場の女達がギャーっと悲鳴をあげる。
俺のがギャーだよ!
でも断ったら・・・この場で・・・それは無理!
「・・・ハイ」
一瞬の静寂の後、会場が悲鳴と冷やかしで大荒れとなった。
死んだ・・・俺の高校生活、終わった・・・。
「ちょっと!樫村!」
「あ、名取・・・」
テントを片付けていた俺に同クラの名取が声をかけてくる。
「あんた、ぜんっぜん高杉くんの事紹介してくれないと思ったら、あーゆー事だったの!?」
「あ・・・」
そーだった。名取に、榛との事、頼まれてたんだった。すっかり忘れてた・・・。
「ごめん。でも俺も、あんなことになるなんて微塵も思ってなくて・・・」
「もういいわよ!ほんっとサイテー!!」
ああ~~~・・・なんてこった・・・
「あき」
こ、この声は・・・
「なんだよ」
背後からする榛の声に、振り向かずに答える。
「ぐえっ」
突然後ろからぎゅーっと抱きつかれて首が締まる。
「あき、OKしてくれてありがと」
は?断ったら犯すって言ったのお前だろーが!
「これで、堂々とみんなの前であきの事、いじめれるね」
は・・・?
「え?ちょ、榛、まさかそのために・・・?」
「何言ってんの、当たり前じゃん。あんな風にトイレでコソコソすんの、俺好きじゃねーし」
・・・待て。
「ついでにうっとーしー女達からも言い寄られなくて済むし、一石二鳥だろ?」
・・・おい、待てって。
「これからは、うんと甘やかして、もっといじめてやるからな、あき♡」
・・・まじか・・・。
「おー樫村、高杉。なんだなんだもうイチャついてんのか?」
「はあ!?違いますよ!」
片付けに来たキャプテンがニヤニヤしながら俺たちを見る。
「照れんなよ。そんなくっついて、違うもなんもないだろ」
違う!これは榛が勝手に抱きついてきて・・・
「あき、大好きだよ。あきは?」
「は?おまえ何言って・・・」
『言わなきゃここで・・・』
またその脅し!?・・・でもこいつならやりかねない。
「は、はは。俺もスキダヨ、榛・・・」
なにこれ・・・。ほんと拷問・・・。
「おまえら、部活中はイチャつくなよ!」
俺の平凡な高校生活が幕を閉じ、波乱の高校生活が始まった。
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