18 / 56

第18話 イケメンの彼氏 1

榛と付き合う(?)ようになってからというもの、俺の高校生活は一変してしまった。 女達からは羨望と嫉妬の眼差し・・・男達からは軽蔑と冷やかしの毎日・・・ 榛のせいで、俺の平凡で目立たないという願望とは真逆に、無駄に有名人になってしまった。 「あき、おはよ」 今日も今日とて、眩しい笑顔で2年の教室まで朝の挨拶のためだけに榛がやってくる。 無視、したいけど・・・ 「おはよう、榛」 なんで教室まで入ってくんだよ~! クラスメイトの視線が~! 「ちょ、ちょっとこっち!」 榛の腕を引っ張って廊下に出て、非常階段まで連れてくる。 「なに?朝からこんな人気のない所に連れてきて。エッチなことでもしたいとか?」 「なわけあるか!」 アホか!逆だよ! 「あ、あのさ、毎日2年の教室まで来なくていいから!」 「じゃあ、あきが1年の教室まで来てくれんの?」 「なんのために!行くわけねーだろ!」 だいたい、好き同士で付き合ってるわけでもないのに。ただ、昔の復讐のためなんだろ・・・。 俺に、恥かかせるために付き合ってるだけじゃん。 「じゃあさ、朝、俺ん家まで迎えに来てよ」 榛の家?でも小・中学校が違うんだから、きっと俺ん家から離れてるよな。 ・・・めんどくせーな。 「俺、親が離婚して母親出てってから親父と二人だったんだけど、親父が再婚したから、高校入学と同時に家出たんだ」 「え・・・そうだったんだ・・・」 榛、寂しい思いしてんのかな・・・。 「だから、アパートに一人暮らししてんの。高校からも近いし、あき迎えに来てよ」 まあ・・・学校から近いなら・・・ 「わかった。その代わり、もう2年の教室に来んなよ?」 「あきがいい子にしてたら行かねーよ」 何がいい子だ!俺はいつもいい子だっつーの。 話がついたところで、非常ドアから廊下に入る。 「榛!」 俺達の前に腕組みして立ち塞がる女子の姿が。 あ・・・この人、前に榛とキスしてた3年の女子・・・ 3年の女子は怒っている様子でこっちをキッと睨んでいる。 「榛、ふざけてんの?こんな男と付き合うなんて。あたしはどーなるのよ?」 はあー、と榛が大きく溜息を吐く。 「センパイ、俺、センパイと付き合ってるなんて一言も言った覚えないんすけど」 「は?じゃあ、なんでエッチしたのよ!」 ・・・榛、この人とエッチしたんだ・・・ あれ、なんだ、モヤモヤすんな!俺の心臓! 「なんでって、センパイが物欲しそうな顔で見てくるからですよ。応えなきゃセンパイに恥かかせるかと思って」 「な・・・なにそれ・・・」 「優しくしてあげたんだから、いいでしょう。センパイも満足そうだったじゃないですか」 優しく・・・したんだ・・・ 「それに俺」 ドンッ 突然榛に廊下の壁に乱暴に押し付けられる。 「いった!なにすん・・・うっ」 榛が強引にキスしてくる。 え?え?なに?おいおい、見てるよ!3年女子が!

ともだちにシェアしよう!