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第19話 イケメンの彼氏 2
なんで、人に見られながらキスされてんだよ~!
榛の体を押し戻そうとしても、頭と胸を榛の手で壁に押し付けられて股の間に膝を割り込まれて、逃げることも出来ない。
うう・・・屈辱・・・
「は・・・る、うう」
榛、と言おうと開いた唇を割って榛の舌が入ってくる。
墓穴・・・最悪だ・・・
「は・・・はぁ・・・」
榛の唇が離れる頃には、顎にまで垂れた唾液で口元がぐちょぐちょになっていた。
「俺、本気で好きなヤツには、優しくなんて出来ないんで」
3年女子に向かって榛が冷たく言う。
「悪いけど、こんなキス、センパイにしたいとも思いませんでした」
「・・・マジで信じらんない。しね!」
去り際に榛を睨んで、廊下を駆けて行く3年女子。
マジで信じらんねーのはこっちだっつーの・・・
「はあ、めんどくせ。あと何人に見せつけりゃいいんだろーな」
「え!?」
あの人みたいなのが、また来るかもしれないって事!?
その度に俺は、人前でこんな醜態を晒さなければいけないのか・・・?
「榛、元カノって、何人いたの?」
「は?ひとりもいねーよ」
え・・・じゃあ・・・
「テキトーに遊んでた女なら、覚えてねーくらいいるけど」
最低だな、こいつ。
「あき、イケメンの彼氏を持つと苦労するんだぜ。でも安心しろ。付き合ったのはあきが初めてだから」
榛がニコッと笑う。
なんの安心だよ!散々、女と遊んでたヤツが彼氏とか、安心もクソもないだろ!
「それに」
榛に顎をグッと掴まれて、また壁に押し付けられる。
「こんなに酷いことしてぇって思うの、あきに対してだけだから」
・・・それを復讐以外のなんて思えばいいんだよ。
「あ・・・の、俺に飽きたら、遠慮なく捨ててくれていいから・・・」
と言うか、すぐにでも飽きて捨ててくれ!頼むから!
「カワイイ事言うね、あき。わかったよ」
ほっ、飽きるまでの辛抱だ。頑張れ俺!
「飽きる前に、あきが俺を見るだけで震えるくらい、虐め倒してやるから。覚悟しとけよ」
ぞぞぞ~・・・
全身を悪寒と嫌な汗が襲う。
「ま、とりあえずは、明日からちゃんと朝迎えに来いよ。後で住所送っとくから」
チャイムが鳴ってようやく榛から開放される。
はあ。これでとりあえず部活の時間までは、自由だ。
部活中はそんなに酷いことはないし、それも大丈夫か・・・。
帰りは榛の気分次第だし。
問題は明日の朝だな・・・。
俺は不安を抱えながらも、イケメンの彼氏とやらの相手を無事全うできる事を強く願っていた。
・・・がしかし、この男は俺が思うほど甘い男ではない、と後々思い知らされるのだった。
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