26 / 56
第26話 男×男 2
学校のすぐ近くのカレー屋で少し早めの夕食。
その後にコンビニで飲み物やスナック菓子を買って榛のアパートへ帰った。
「先、風呂入っとく?」
「そーだな。部活で汗かいたし」
「じゃあ、あきからどーぞ。タオル置いとくから入ってていいよ」
「うん。さんきゅ」
シャワーで体を流しながら、俺は榛の事を考える。
榛、変態だけど気が利くよな・・・。コンビニの袋だって、飲み物が入った重い方をさりげなく持ってくれたし。
さすが、モテるやつは違うな。女はこういうところ、ちゃんと見てんだろうな・・・。
何人もヤってんだったらきっと、エッチも上手かったり・・・
「あき」
「はははははい!」
バスルームの外から榛に声をかけられて、よからぬ事を考えつつあった俺は、心臓が飛び出そうになる。
「タオル、置いとく」
「あ、た、たたたおる!ありがとな!」
あー、焦った。
一緒に入るとか言い出すのかと思った。
・・・にしてもエッチか。榛と俺がヤるとなったら・・・俺が下?イヤイヤ、絶対あんなの入らねぇ。
だったら榛が下?・・・それもなんか違うような・・・。でも榛、綺麗な顔してるよな。気持ちよくなったらどんな顔になるんだろ・・・。
って何考えてんだ俺は!
俺はゲイかもしれない!でも榛は違うだろ!この前のだって、ゲイかもしれない俺への当て付けだっつーの!
・・・変なことばっか考えてたら、長風呂になってしまった・・・。
「何やってたんだよ、あき。おっせーぞ」
「あ、ごめん」
「オナってたんじゃねーだろーな」
「ばっ!バカ言ってんな!ひとんちでそんなことするわけねーだろ!」
「・・・ならいいけど。俺も入ってくるから、おとなしくしてろよ」
「わかってるよ!」
オナってはない。勃ちそうにはなったけど・・・。
15分ほどして榛が風呂から上がってくる。
「あき、入れていい?」
「うん」
榛がリモコンの再生ボタンを押す。
なんのDVDだろ?榛が好きそうなのってわかんねーな。オカルトとか?恋愛・・・はなさそうかな。SF、かな?
画面には、大学の友達という設定の男二人が居酒屋で他愛もない話で盛り上がっているシーン。
なんの映画?よくわかんねーな。
片方の男が酔いつぶれて、もうひとりの男に支えられてアパートにふたりで帰って、ベッドに寝かされている。
酔いつぶれた男の顔をじっと見ていた男が、突然キスをする。
・・・え、何コレ。
キスが激しくなって、酔った男が服を脱がされ・・・
え、ちょっとちょっと。なんなのコレ。
「は、榛?これなんの映画?」
「ん?ああ、ホモのAV」
は?ほもの・・・えーぶい・・・
「ええ!?な、なんでそんなものを!?」
「あきと一緒に観たいって言ったじゃん」
「そう聞いてるけども!」
まさか、こんな内容だって思ってもねーし!
「いいから観ろよ」
「み、観ろと言われても・・・」
画面に目を向けると、酔っていた方の男は抵抗しつつもどんどん感じていって、勃ってしまい、更には咥えられて善がり出す始末。
ダメだ!もう観ていられない!
「榛!お、お前にはまだ早い!これ以上観んな!悪影響だ!」
俺は、画面を隠すように両手を広げてテレビの前に出た。
「なんで?AVくらい普通に観るよ。もしかして、あき初めて?」
ぐう・・・!初めてだよ!悪いかよ!
「そっか~。初めてだから、興奮しちゃって、もうそんなんなってんだ?」
「へ・・・?」
榛の指差した先、俺の中心部が膨らんでいた。
ヤバイ!こんなゲイビ観て勃っちゃうなんて、「俺はゲイです」ってプラカード持って歩いてるのと一緒じゃん!
「こここれは、違う!さっき風呂でエッチな事考えてたから、それで・・・」
「へえ~。エッチなことってなに?」
「そ、それは・・・」
ヤバイ!榛の善がる顔とか想像して勃ちかけたとか言えねぇ!
「あき」
榛が立ち上がって、一歩ずつ距離を詰めてくる。
それから逃げるように、一歩ずつ後退りする俺。
「わっ!」
榛に気を取られて、テーブルに足を引っ掛けて尻もちをついてしまった。
すかさず榛に体を持ち上げられ肩に担がれてしまう。
「ちょ!おい、なにすんだ!お~ろ~せ~!」
俺の抵抗を無視して榛は寝室に入り、俺はベッドの上に落とされた。
榛がベッドの上にのって、四つん這いで俺の体を囲む。
「さっきのDVDの、おさらいしてみよっか」
え・・・。おさらい?。・・・マジですか・・・。
ともだちにシェアしよう!