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第31話 どっち 3

自分の声とプラグが抜き差しされる音が混ざり合う。 こんな恥ずかしい姿の俺を榛はどう思って見てるんだろう。 きっと馬鹿にしてるよな。冷めた目で見てる、きっと。 あの歪んだ薄ら笑いで見下してるかもしれない。 俺は自分の肩越しに榛の顔を盗み見た。 ・・・え? 榛の顔は、俺の想像していたものとは違っていた。その表情には余裕が無く、焦っているようにも見える。 なんか・・・かわいい 。 「んっ、んっ・・・は・・・はる・・・」 榛の表情が意外過ぎて、胸がきゅんと締め付けられ、思わず名前を呼んだ。 「っ、人が必死で我慢して、ゆっくり解してやろーとしてんのに・・・あきは本当に狡いよ」 「んぁっ!」 一気にプラグを引き抜かれて、代わりに冷たい液体が注入される。 「冷た・・・っ、なにっ?気持ち悪・・・」 「あきが悪い」 後ろに榛の硬くなったものをグッと押し当てられて、この前の恐怖が蘇る。 「やめろ!榛、入らねぇって・・・あっ、ああっ・・・・・・」 入った・・・? 前は先っぽすら入る気配がなかったのに。 でもやっぱり苦しい。内臓が押し上げられてるみたいだ。ギチギチに詰め込まれているみたいで痛くて息ができない。 視界が涙で滲んだ。 「あき、ちゃんと呼吸して。ゆっくり息、吐いて」 そんな事言ったって・・・ 「・・・ふ、・・・は、・・・はぁっ、はぁっ・・・」 「じょーず」 背中に榛の体温が重なって、優しく頭を撫でられる。 そんな風に触るなって。勘違いしちゃうだろ・・・ 「好き」 え。 「あき、大好き」 え? 「言うつもりなかったのに・・・あきのせいだ」 痛いくらいにぎゅうっと抱きつかれて、奥まで榛が侵入してくる。 「ま、て・・・はるっ、ああっあ・・・」 相当痛いだろうと構えたのに、それだけじゃない疼きを感じて、中がうねっているのが自分でわかる。 「キツ・・・やっぱまだ早かったかな。あき、痛い?」 「いた、い。けどっ・・・」 「けど?気持ちい?」 気持ちいい、でも口にするのが恥ずかしくて、俺は頭を縦に一回だけ振った。 「あき・・・あき、好き」 聞き間違いじゃないよな? 榛が俺を好きって言ってるんだよな? だったらなんで・・・ 「嫌がらせ、だったんだろ?嫌いって、言ってた。なんで・・・」 「だって、チビの時は俺ばっか構ってくれてたじゃん。再会して嬉しかったのに、あき、俺の事全然構ってくれないし」 「構ってたって・・・俺、榛を虐めて・・・」 「それでも嬉しかった!あきの事好きだったから。だから、俺もあきを虐めたら、好きになってくれると思った」 な、んだよ、それ。やっぱ頭おかしいな、こいつ。 「好きになんなくても、酷いことすれば、あきの心に俺の存在が残せる。俺の事ずっと忘れないでいてくれる」 「榛・・・」 「好きでも嫌いでもどっちでもいい。俺は、あきの『特別』になりたい」 榛が腰を引き、間を置かずに一気に奥まで突かれて目の前にチカチカと光が点滅した。 下半身が痙攣して、尻の奥が何度も収縮を繰り返す。 「あ・・・あ、ん・・・やぁ・・・」 「カライキしちゃった?あき、ほんとにカワイイ。大好き」 好き、好きって・・・。今まで誰にも言われた事ないのに、急にそんなに何度も言われたら、どうしていいかわかんなくなるじゃん・・・。 射精を制限されていて、前がはち切れそうなくらい痛くて、我慢できずに涙が溢れてくる。 「も、とっ・・・て、いたい、お、ねが・・・」 榛がゴムを外した瞬間、ダラダラと精液が垂れ流れた。 「あ、あ、どうしよ・・・とまんな、い」 「好き、マジで好きだよ。あき」 「んっ、・・・んっ、・・・ふぁ、あ、は・・・る」 榛に突かれている間も、ずっと射精感がおさまらなくて痛みなんか忘れるくらい、気持ち良くて堪らなかった。 榛が俺の中に吐き出すまで何度も繰り返す「好き」は、まるで媚薬の様に俺の体を支配していた。

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