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第36話 地獄と天国 2
「樫村先輩、大丈夫ですか?」
ようやく俺の方を向いた榛を仰ぎ見る。
まだ名取の手を握ったままの榛の両手が、速くなった俺の鼓動を不穏な音に変えた。
「だい・・・じょうぶじゃ、ない」
だから、早くその手を離せよ。
そう思った瞬間に榛の手が名取から離れた。
やっと榛に触れてもらえる・・・。
だけど、榛は再び俺に背を向けて離れて行く。
「やだ・・・」
自分でも何だかわからない感情が込み上げて、涙が溢れそうになる。
滲んだ視界で榛の後ろ姿を見ていると、松田に話しかけに行っている。
松田がすぐに近付いて来て、机に伏せたままの俺の額に手を当てた。
・・・お前じゃないんだよ、触って欲しいのは・・・。
「熱は無いみたいだけど、すげー汗だな。高杉が送るって言ってるし、お前ら今日は練習休め」
3年が引退して、新キャプテンになった松田。
最近、偉そうにしててムカつくけど、今日ばかりは感謝かも。
「あき、立てる?」
榛は心配そうに聞いてくるくせに、手を差し出してはくれない。
「・・・立てない」
だから早く、支えるなり抱き上げるなりしろよ・・・。
「じゃあ、俺に縋ってよ」
榛が俺の耳元で囁いて、口角だけを上げて笑顔を作る。目は、笑っていない。
ガタッ
榛に椅子の足を軽く蹴られて、下半身にその振動が伝わって、必死で耐えている俺の体がビクビクと反応してしまう。
「・・・っ、ぁ・・・」
こんなところで、まだクラスメイトが残っている教室でイクわけにはいかない、絶対に嫌だ。
だからって、自分から榛に擦り寄るところを見られるのも嫌だ。
「もう一回、蹴る?」
椅子の足を、トントンと小さく榛が蹴る。
もう、限界・・・。
俺は立ち上がり、榛の首に手を回して縋る様に抱きついた。
ぎゅっと抱き締め返してくれる腕の強さに、今まで我慢していたものが一気に込み上げて溢れ出た。
「・・・ぁ、・・・っ、ぅ・・・」
声が出ないように榛の胸元に顔を埋めて、快感に堪える。
嫌だと思っていた事を一度にしてしまい、それなのに、こんなに気持ち良くなってしまっている。
もう地獄なんだか天国なんだか・・・
榛に背負われて校舎を出る。
「マジで最悪・・・明日から学校行けねぇ」
「大丈夫だよ。誰もあの状態であきがイってるなんて思ってねーよ」
「そういう事じゃねんだよ!」
帰り際のクラスメイト達からの冷やかしが死ぬほど恥ずかしかったからだよ!
こんな事なら、学食で榛に聞かれた時に、好きだって答えとけばよかった・・・。
アパートの鍵を開けて、俺をおぶったまま部屋に入ろうとする榛。
「ちょ、俺、寄ってくなんて一言も・・・」
「ここでセーター返してもらうけど、ズボン濡らしたまま帰れんの?」
「・・・無理」
仕方なく玄関で榛の背中から降りて靴を脱いでリビングに入る。
・・・プラグが入ったままで、教室でイってしまった後もずっと前が萎えなくて変な感じがする。
「あき、服脱いで」
「え!?」
「濡れてんの気持ち悪いだろ。それにあきが着てんの、俺のシャツとセーターだし」
そうでした。
また変なことされるのかと思った・・・。
「風呂、借りていい?」
「いいけど、ここで脱げよ。ケツ、入れたまんまでキツイだろ?」
ホッ、やっとでこの異物感から開放される・・・。
俺はその場でシャツとセーターを脱ぎ、精液でぐしょぐしょになったズボンと下着を下ろした。
「すっげーやらしいんだけど」
萎え切っていない俺の中心に、白濁した液体がまとわりついているのを、榛が跪いて間近で見る。
うう。めちゃくちゃ恥ずかしい・・・。
「抜くから後ろ向いて」
壁に手をついて、榛に背を向ける。
ゆっくりとプラグが引き抜かれる感覚に、後ろがヒクヒクと反応する。
「なに、それ誘ってんの?」
「違うから!」
「違わない。抜いてもヒクついてんじゃん」
少しだけ下げられた榛の下着から、反り立つものが見えたと思った瞬間、それが俺の後ろに勢いをつけて埋め込まれる。
「はっ、あぁっ!」
「・・・っ、そんな締めないでよ。すぐイッちゃうでしょ」
さっきまで入っていたプラグとは、比べ物にならないくらいの圧迫感で、目眩がする。
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