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第37話 地獄と天国 3

この短期間に、もう何回榛にイかされてるかわからない。 自分がゲイかもしれないと思い始めてからは、ひとりでやることもなるべく避けてきていたのに・・・。 榛に触られて、中に攻め込まれて、ぐちゃぐちゃに掻き回されて・・・。 立ったまま後ろから挿入れられて、身長差があるため、腰をめいっぱい榛に引き上げられて、つま先しか床に着いていない。そんな状態でこんなところを責められて、感じたくないのに、体が勝手に快感を求めてしまう。 「腰揺れてる。気持ちいい?あきがこっちの素質あって嬉しい」 「あっ、あ・・・ぁん、あぁ・・・そこ・・・じゃ」 いい所をわざと避けるような榛の動きがもどかしくて、思わず口走ってしまい、恥ずかしくて耳が熱くなる。 「どこがいいの?自分であててみてよ」 榛の腰の動きが止まって、俺が動くのを待ち構えている。 俺のいいところ、わかってんだろ・・・。わかっててそんな意地悪な事を・・・。 弄ばれているみたいで悔しい。 意地でも自分からは動かない。 「・・・ふーん。意地はってると、後悔するよ?」 ぐぐっと榛が深く入ってきて、もうこれ以上入らないくらい奥を押される。 腹の底が押し上げられて、声も出せない。 「・・・っ!・・・」 もうダメだ。立っていられない。 縋っていた壁を腕が滑り落ちる。 崩れる体を後ろから榛に支えられて床に降ろされた。 這い蹲る俺の奥に、突き立てるように榛は出し挿入れを繰り返して、もう何も考えられないくらいの快感に意識が遠くなる。 「あき、好きだよ。好き」 「あぁ・・・、あ、は・・・る・・・」 薄れていく意識の中で、榛からの『好き』が心地よくて、俺はなんだか胸が熱くなるのを感じていた。 「う・・・ん・・・」 香ばしい様な甘い様な香りに目を開けると、榛がキッチンに立っているのが見えた。 「あき、起きた?夕飯もうすぐできるよ、食ってけよ」 「え・・・うん」 「メシの前にシャワーしてきた方がいいよ?」 榛に言われて、大きめのブランケットで覆われている自分の体を見ると、どっちのものなのかわからない液体でベタベタになっていた。 立ち上がった途端、力が入らない膝がガクッと折れて床にへたり込む。 「あき大丈夫?風呂まで連れていこうか?」 「いい、大丈夫!」 「素直になってれば、そんな事になんないで済むのに。ほんと学習しないよな」 ・・・ごもっとも過ぎて、何にも言い返せない。 学校で酷い思いしたのに、なんでまたこの腹黒ヤローの罠に嵌ってんだ・・・。 壁伝いになんとかバスルームまで行き、シャワーを浴びる。 後ろの穴からトロッとしたものが溢れ垂れてきて、鳥肌が立った。 「アイツ・・・いい加減にしろよ」 俺には挿入れさせてもくれないくせに、なに遠慮もしないで注ぎ込んでくれちゃってんだよ! 考えたら腹が立ってきた。 シャワーを浴び終えてバスタオルを腰に巻き、榛に文句を言ってやろうとリビングへ戻る。 「榛!てめぇ調子こいてんじゃ・・・」 「あ、ちょうど出来たとこだよ。あき、シチュー好き?」 リビングのテーブルに、クリームシチューとチキンライスを並べている榛。 「ごめん、あるもので作ったから、組み合わせおかしいかも」 「・・・いや。めっちゃ美味そう。さんきゅー・・・」 榛はニコッと笑って、Tシャツを用意してくれる。 なんか・・・怒れなくなっちゃったな・・・。 「制服、洗って今乾燥かけてるから。ウチに、あき用の下着とか着替えとか置いとかなきゃだな。俺のじゃデカいし」 置いといてどうするつもりだよ。汚すような事しなけりゃいいだけじゃん。 「食べよっか」 「いただきます・・・」 「・・・不味くない?」 「めっちゃ美味い。うちのかーちゃんのシチューより美味い」 「よかった~!かなり愛情注ぎ込んどいたからな」 ・・・怖いな、それ。と思ったが、本当に榛の料理が美味くて、胃袋を掴まれるってこの事なのか、としみじみ思い直した。 料理も出来て、イケメンで気遣いも出来て・・・ 俺には勿体ないくらいの最高の彼氏なんだろうな、と思う。 榛がドSじゃなくて、あとは俺に掘らせてくれたら、好きになるのにな・・・。なーんて。 既に榛の手の平で転がされていることも知らない俺は呑気にそう思っていた。

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