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第47話 好きになったら 3
「榛っ、やめ、ろ・・・」
「あきの項、めっちゃ熱い。俺の舌、溶けそう」
そりゃあ、熱ありますから!
つーか、なんなの!?
榛の舌に何度も何度もうなじを舐め上げられて、体から力が抜けてくる。
ただでさえ高熱で重くなった全身が、更に温度を上げて思考まで奪われそうになる。
「ねえ、答えてよあき。気持ち悪い?」
「ん・・・っ、き、気持ち悪い、て言ったの・・・おまえ、じゃ・・・」
「答えになってない。俺にこういう事されるの、気持ち悪い?」
榛の舌と息が同時にうなじを刺激してきて、体の中心が痛いくらいに勃ち上がってくる。
「気持ち、悪くな・・・い」
そう言った瞬間、榛の舌がパッと離れて、巻き付いていた腕も外された。
「はる・・・?」
どうしたのかと思い、ゆっくり後ろを振り返ると、榛は困ったような顔で目を泳がせていた。
「困る」
「え・・・?」
「気持ち悪くなきゃ困るんだよ!」
気持ち悪くなきゃ困るって、どういうこと・・・?
「気持ち悪くねーよ。だって、俺は榛が好きだって言ったじゃん」
「なんで・・・俺、あきに、酷いこといっぱい・・・」
今にも泣きそうな顔で、榛は自分のジャージの胸元をぎゅっと握りしめた。
なんで?振り回されてんのは俺の方なのに、なんでそんな辛そうな顔してるんだよ。
「・・・あきの事、ボロボロに傷付けてやるつもりだった。俺でいっぱいにして、捨てて、もう立ち直れないくらいに」
熱でぼーっとする頭で、なんとか榛の言葉を理解しようと努力してみる。でも、榛の口から出る音を耳が通過させるだけで、処理できない。
「だけど・・・恨んでたはずなのに・・・あきに触れる度に、受け入れてもらう度に、堪らなくなって・・・」
「・・・」
「嫌いになりたいのに、なれない。・・・なんで?ねえ教えてよ、あき」
今にも泣きそうだった榛の顔は、つうっと涙が流れて泣き顔に変わる。
「榛、ごめん。しんどくて立てないからこっち来て」
そばに行って慰めたかったのに、勃起してるし体はダルいしで・・・ほんとカッコつかねーな、俺。
榛が俺の横に座って、ジャージの袖で涙を拭く。
「よくわかんねーけど、ごめん。俺に仕返ししたかったってのはわかった。恨まれるくらい虐めてたんだな、俺。本当にごめん」
「・・・もういいよ」
「あと・・・好きになってごめん」
「言わないでよ!」
急に怒り出す榛に、びっくりして一瞬肩が竦む。
「あきに好きだって、言わせたかった・・・。でも、それ言われちゃうと・・・、俺、自分を抑えらんない」
「・・・ごめん。男から言われても気持ち悪いよな。好きとか」
はあ、と榛が溜息を吐いて俺を睨む。
「言わないで、って言ったのに・・・・・・」
「んんっ!」
着ているスウェットの襟元を両手で引っ張られて、榛に噛みつかれるように唇を奪われる。
ちょっと待って!なに!?
考える暇もなく榛が舌を差し込んでくる。
「あきのくちの中、あっつい」
「あ・・・ふっ、・・・ねつ、あ・・・」
熱があるから、と答える事さえできないほどに咥内を掻き回されて、苦しいのと気持ちいいのとで、俺は思わず榛の腕にしがみつく。
「あきに好きだって言われると、俺、あきにめちゃくちゃやらしいことしたくなる」
「・・・へ?」
「こっ酷く振ってやろうと思ったのに、やっぱりできない。あきが欲しくて、頭がおかしくなりそう」
上気した榛の綺麗な顔と、熱を帯びた瞳に見詰められて、また一気に体温が上がる。
あ、やば・・・。
ぷしゅーっと頭から蒸気が出るような感覚がして、俺の視界はブラックアウトしてしまった。
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