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第5話

 次の日の放課後も、同じように食堂の隅に陣取る。ちなみに昼間は時々授業にも出つつサボりの間は適当にブラブラと歩いている。 「はー、ほんとお前どーしたのさ」  からかうように言われたので睨むだけ睨み、また入口を見つめる。 「そーいやフジクンは初恋まだでしたっけぇ?」  面白がりやがって。  俺がなにもせず黙っていても閉じない口に苛立ちつつ、まだ睨むだけで済ませる。今下手に喧嘩しようものなら風紀に連行されてしまう。そうなるとさ......がら、のことが見れない。 「はー、ウブだなぁ」  ニヤニヤしている桐を放置で入口を見ていると、昨日と同じくらいの時間にまた相楽が現れた。本当に綺麗だ。  と、またも目が合い、今度は逸らすことなくがちんと固まる。も、ぱぁっ、と相楽が笑顔になる瞬間を見てしまい、バッと桐の方に向き直る。 「お前さ、なんでこっち向くの」 「......つい」  なぜだか桐の顔をみると、熱くなりかけた顔が元に戻るのだ。『ほんとウブだなぁ』とニヤニヤされつつも無視を決め込んだ。 「藤宮先輩っ!」  昨日と同じ声が聞こえたので、また好きにしろとだけ言う。  意味はきちんと伝わったらしく、昨日と同じ配置で席についた。 「あの、先輩。僕昨日何かしちゃいましたか......?」  俺を呼んだ時とは違いしおらしく聞いてくるその様子に、昨日の自分をぶん殴りたくなる。やはり桐の言う通り逃げるべきではなかったのだ。 「......用事、思い出しただけだ」 「あっ、そうだったんですね!」  よかった、僕嫌われちゃったかと、なんて続ける相楽のその健気な表情に、また桐の方をむく。  少し早まっていた鼓動が元に戻った。 「だからさ、オレの顔見てどーすんのってぇ」 「るせぇ」  呆れた顔をする桐に舌打ちを零せば、カラカラと笑われた。

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