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第7話

 次の日屋上で昼を食べようとしていると、ドアが開いた。ちらりとその隙間から覗いたのは、少しぎこちない様子の相楽だった。 「......来たのか」 「あっ、だ、だめ......でした?」  きゅるん、とでも音がつきそうな上目遣いをされて桐の方を向きつつ別に、と答える。  目の前ではなぜか桐が顔を引き攣らせていた。 「桐?」 「......あー、いや、......うん、頑張れ」  何がだ、とは思ったがそれ以上何も言う気は無いのがわかったため口を噤んだ。 「先輩、肉が好きなんですか?」 「ああ」 「野菜は嫌いですか?」 「食べれる」 「猫派ですか?犬派ですか?」 「......猫、だな」  昼食を食べながらポンポンと質問を投げかけられる。思ったより相楽が積極的で少しぎこちなくなってしまう。 「明日から僕、先輩のお昼作ってきましょうか?」  と、急に落とされた爆弾で、カツサンドに噛み付こうとしていた動きが止まる。2、3秒止まってから、取り繕うようにまた動きを再開させて咀嚼した。 「......なんでだ?」 「だって、コンビニだけだと体に悪いですし......嫌、ですか?」  チラリ、とみてくるその目に弱いのが今はっきりと分かった。  ほぼ無意識的に『好きにしろ』とだけ言うと、やったぁ! なんて、喜ぶ声が聞こえた。  なんで相楽は弁当を作るだけで喜ぶのか。  もしかして、なんて自惚れそうになるのは仕方の無いことだろう。

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