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第17話
もぞり、と動いてから目が覚め、隣を見るとすやすやと眠っているさや。
「っ!」
そ、うだ。昨日俺はさやと......いや、さや、に、抱かれてしまった。
昨日のヤる直前まで俺は抱く気満々でいただけになんともしょっぱい気分になるのは仕方がないことだと思う。
目を瞑って規則正しい寝息を聞かせているさやは可愛い。青い目が見れないのは少し残念な気もするが、俺が今まで見てきた中で1番綺麗で可愛い寝顔だ。顔にかかった茶金の前髪を払ってやると、んぅ、と鼻に抜けるような声を出して俺の胸元にすり寄ってくる。
猫のようで可愛い。
「ん、......せんぱい?」
「起きたか」
「おはようございます」
さやの目が開き、ふわりと笑う。可愛さに目を逸らしながらおはよう、と返すとぎゅ、と抱きついてくる。
今気づいたけれど昨日散々汚したはずなのにベタつかない。さやがちゃんと後始末してくれたのか。
「先輩、腰大丈夫ですか?」
「......多分」
また少ししょっぱい気分になりつつも返事をする。本当なら腰を庇う可愛いさやを見れるはずだったのに何が嫌で可愛くもない俺が腰を庇わないといけない。まあ、眉を潜めたって俺が下だった事実は変わらないのだが。
「このままずっと一緒にいたいけど、学校があるので1度部屋に帰りますね」
「今、何時だ?」
「んーと、10時......遅刻ですね」
ふふ、といたずらっ子の様に笑うさや。後にはこれだと皆にバレバレかも、なんて続けられて顔が熱くなる。
「......俺が、こっち側なのも、」
「バレちゃうかも。けど先輩、可愛かったですよ。本当大好きです」
大好き、と胸にすり寄ってくるさやは可愛いが、バレるのは少し、というか大分嫌だ。けど考えてみると、最近可哀想なものを見る目で見られていたのは始めからこれが予想出来ていたからなんだろうか。
いや、まさか。いくらなんでもそれは、ない。......はず。
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