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死にかけの不可抗力

「あのさ」 「言うな、不可抗力だった」 「まあ、そう言うよね」  どのくらいの時間眠ってしまっていたのか、 次の日の朝、痛む頭を抱えながらシルヴァはガーランドを押し退けた。そのまま覚束ない足取りでバスルームに入っていく。 「大丈夫?」 「駄目だ」  バスルームを覗き込んだガーランドからは、シルヴァがトイレの便座に縋っているように見えた。 「シエラ様も死んでるよ?」 「やめろ、勝手に殺すな。殺すならパーセルにし……っ」  ガーランドの方を向いて怒ろうとして、吐きそうになり、シルヴァは再び便座に縋った。 「これは二人とも今日はお休みだね」 「嬉しそうに言うな」  もう二度と酒は飲まないとシルヴァは心に誓った。

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