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やっぱり君は素直じゃない

「お、追ってくんなよ?」 「はいはい」  情事の後はまるで魔法が解けてしまったみたいだ、といつも思う。 「ああ、くそ……」  ベッドから降りてバスルームに向かおうとしたけれど、ガクガクと膝が震えて上手く立てなかったらしい。  床に四つん這いになって動けないシルヴァの姿をちらっと見て可愛いなと思いながらもガーランドは見て見ないフリをする。 「君、この五年間、誰とも寝てなかったんだね」  再会して最初に抱いた時から、反応と感覚からそれが分かっていた。 「なっ」  全然違う方向を見ながら言葉だけをシルヴァに向けると、彼は床の上で真っ赤になった。 「無意識に僕のことを大切にしてくれてたのかな? 嬉しいな」 「く、訓練と仕事で忙しかっただけだ」  視界の端でなんとか立ち上がったシルヴァがゆっくりとバスルームに歩いていくのが見える。 「やっぱり君は素直じゃない」 「うるさいぞ」  バスルームに着くなり、シルヴァはバンッと扉を閉めた。中でガタガタと暴れる音がする。 「ちゃんと約束は守ったよ」  そう言って、ベッド横のチェストからガーランドは何かを取り出した。

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