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第12話 2
「もう大丈夫かな…」と言って、松田さんが僕の口から袋を離す。
背中に感じる祥吾さんの胸の動きに合わせて呼吸を繰り返していると、先程の息苦しさも、手足の痺れも、嘘みたいに治まった。
「し、ょうご…さん、ごめ…」
「雪、まだ喋らなくていい。でも…、はあ…っ、ビックリしたっ。すぐに治まって、良かった…」
祥吾さんが、僕を優しく抱きしめて、髪に顔を埋めて大きく息を吐いた。
「雪くん、ごめんね。たぶん俺が、何かダメなことを言ったんだと思う。辛い思いさせて…ごめんね」
松田さんが、眉尻を下げて謝ってきた。でも、松田さんが謝る理由なんて何もない。きっとこれは、僕自身に原因があるんだ。
僕は、僕の前に膝をついた松田さんの手に触れて、首を横に振る。
「松田さん…は、いい人。何も…悪く、ない…。…僕が、変…なの…。ごめ…んなさ、い…」
「雪くんは、本当にいい子だね…」
僕の手の甲を撫でて、松田さんが優しく笑う。でもすぐに、松田さんの手を祥吾さんが掴んで、僕から離させた。
「雪に触れるな」
「祥吾…、心が狭くない?まあいいや。それより、雪くんを休ませてあげないと。雪くん、ベッドに行く?」
「もう大丈夫…。だから…、ここに…いたい」
「じゃあ、ソファーで休むか?」
「…うん」
頷いた僕に微笑んで、祥吾さんが僕を抱えてソファーに連れて行く。ソファーに寝かせると、背もたれに掛けてあった毛布で、僕の身体をきっちりと包んだ。
「祥吾さん…、これ、暑い…」
「暑くない。ここは、暖炉から少し離れてるからな。ちゃんと肩まで被るんだ」
「…はい」
祥吾さんが僕を思ってしてくれることだから、素直に返事をする。祥吾さんは、満足そうに「いい子だ」と笑って、僕の唇にキスをした。
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