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第21話 11

僕は薄手の白のセーターにジーンズ、ジャンパーを着て、祥吾さんは薄手の紺色のセーターにジーンズ、黒革のジャケットに着替えて出掛けた。 僕が祥吾さんの家に来てからの四ヶ月で、祥吾さんとお揃いの物がずいぶん増えた。 服はほとんど色違いで買ってくれて、家で使う食器、タオル、歯ブラシ、果ては下着までもがお揃いだ。 僕は最初、「食器とかは百均の物でいい」と言ったんだけど、祥吾さんが「俺が揃えたいんだ」と言って譲らなかった。 そこまで甘えてしまっていいんだろうか…と遠慮もあって「百均でいい」と言ったけど、祥吾さんが強引にお揃いを増やしてくれて、本当はすごく嬉しかった。 時々思い出しそうになる記憶に怯えてもいたけど、僕はすごく幸せだった。まだ出会ってたった四ヶ月。もっともっと永く、祥吾さんの傍にいたい。僕の今一番の願いは、それだけだ。 祥吾さんの大きな車で、いつものショッピングモールに行く前に、祥吾さんが編集担当者と少しだけ打ち合わせをすると言って、待ち合わせの店の近くのパーキングに車を止めた。 車を降りる直前に、祥吾さんが僕を引き寄せて抱きしめる。 「雪、本当について来ないのか?一人で大丈夫?」 「もう…大丈夫だって。祥吾さんの仕事の邪魔をしたくないし。この近くに見たい店もあるし、ゆっくり見てる。終わったら、連絡入れてね」 「…心配。変な奴に声かけられんなよ?」 「…子供じゃないんだし、誰も声なんてかけて来ないって。祥吾さん、早く終わらそうと、打ち合わせ、いい加減で済ませたらダメだよ?」 「……わ、わかってる…」 明らかに目を泳がせる祥吾さんに笑って、僕はそっと祥吾さんの唇に口付けた。 少しヒヤリとする祥吾さんの唇が触れるだけで、僕の身体が幸せに満ちていく。どちらからともなく舌を出してヌルリと絡め合わせ、ゆっくりと離れる。 僕の口端を親指で拭って、「本当に気をつけろよ」と祥吾さんがしつこく繰り返した。

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