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第28話 18

松田さんは、ブツブツと文句を呟きながら僕と祥吾さんの後について来た。そして、リビングに入ってテーブルの上を見るなり大きな声をあげた。 「なんだっ。ちゃんと準備出来てるじゃん!しかも皿もコップも三つあるしっ。やっぱり俺が来るの、わかってたんじゃないか」 「…声がデカい」 「祥吾、おまえはホント、素直じゃないねぇ。嫌なら一言、今日は来るな、って言えばいいのに。俺にも祝って欲しかったんだろ?」 「おまえうるさいし、帰ってもらってもいいぞ…」 松田さんが鞄と荷物を床に置くと、祥吾さんの肩を抱いてニヤリと笑う。 「あーはいはい。おまえは昔から、怖い顔して冷たいことを言うけど、内心はいい奴だって知ってるから。だからほいこれ。特選黒毛和牛!どうせ今日もすき焼きすんだろ?」 「…悪いな…」 「ぷっ!あーホント、俺は素直になれないそんなおまえが好きだぜ。…と。雪くん?友達として好きの意味だからね?」 「え?」 松田さんが僕の手元をジッと見るから、不思議に思って顔を下げると、僕は無意識に祥吾さんのシャツを握りしめていた。 クスクスと笑って松田さんが祥吾さんから離れる。優しい手つきで僕の頭を撫でて、「ごめんね?」と謝られた。 僕は、首をフルフルと横に振って、祥吾さんの胸にコテリと頭をつける。 「え…と、祥吾さんと松田さんは友達だから…いい、の。ただ、なんだかすごく仲良いなぁ…って。祥吾さん、僕にはそんな態度取らないから…」 「雪くん、こんなに祥吾に大事にされてるのに、まだ不安になっちゃうの?ふふ…、本当に祥吾が好きなんだね。いいよなぁ、祥吾、こんな可愛い子にここまで想われて」 「雪はダメだぞ」 「友達の恋人に手なんか出さないって。あのね、雪くん。祥吾が雪くんに接してる時の態度の方が、特別だよ。雪くん以外の人には、今みたいにすっげー素っ気ないの。冷たいの。祥吾が、雪くんをベタベタと甘やかして可愛がっているのを見て、俺は驚いたんだよ?そんな姿、一度も見たことなかったし。こいつ、こんなに甘い顔出来るのかぁ、って、衝撃だった」 「僕だけ…特別?」 「そうだ、雪…」 祥吾さんの静かな声に、そっと顔を上げる。とても甘く僕を見つめる目と目が合って、僕の胸がキュンと鳴る。 「雪だけ特別。その他の奴らは、皆んな一緒だ。…まあでも、晴樹は例外だな…。幼稚園からずっと一緒だし」

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